ポルトガル戦と今大会を振り返って


0-0のまま、延長戦でも決着がつかずPK戦の末ポルトガルの勝利


前半はだいたい予想していたような内容。ボールテクニックに長けるポルトガルがやや優勢。しかし今大会の他の決勝トーナメントの戦いと同じく決定的場面は少なかった。
後半に入ると「アレッ」と思うほどポルトガルがペースダウン。逆にイングランドは縦にボールが入るようになりチャンスを作り始める。ベッカムが下がってレノンが代わりに入ってからもイングランドはいい流れだった。この試合を通じてポルトガルの攻撃に脅威を感じなかったので、「これは勝てるかな」とも思っていた。
しかしそこでルーニーの退場劇。何があったのか分らない。1発レッドを貰ったことをみると彼が悪いんでしょう。
マンチェスター・ユナイテッドファンの僕だけど、言っときます。
ルーニーのバカー」


これで8年前アルゼンチンと戦った時と同じような状況になった。
しかしあの時よりもこの日のイングランドは積極的だった。限られたスタミナを使って何とか点を取ろうとしていた。NHKの解説者は「イングランドは10人になってからはPK戦狙い」とか言っていたけど、そんな事はなかった。
デコがいないのが響いたのか冴えない攻撃のポルトガルよりも決定機は多かった。この10人になってからのイングランドの戦いは見事だった。さすがに最後の3分は守りに入っていたが。よく集中力を切らさずに頑張った。


PK戦は仕方がない。しゃーない。
しかしイングランドPK戦弱いな(苦笑)。ワールドカップでは90年、98年に続くPK戦による敗退。ユーロでも96年と2004年にPK負けしている。PK=負け?

個人別にコメント

ポール・ロビンソン

この日はパーフェクト。難しい弾道のシュートもあったが落ち着いた正確なキャッチングで2次攻撃の可能性を消していた。
大会を通じても安定してたと思う。しばらく第1GKの座は彼のものでしょう。

ジェイミー・キャラガー

可も不可もなくw

ギャリー・ネビル

怪我からの復帰だったが、出来はまずます。守備は安定していた。同僚のクリスティアーノ・ロナウドに対しても遅れを取らず、終盤の猛攻もよく防いだ。
ただタッチライン付近まで攻め上がることがなかったのが残念。
(今大会のイングランド代表は攻撃が左サイド(ジョー・コール)がメインで右はほとんど無かった。)

アシュリー・コール

今大会のパフォーマンスはあんまり良くなかった。
しかしこの日は(10人になるまでは)いつもより積極的なオーバーラップが見られた。連携に問題があってなかなかチャンスにはならなかったが。
左利きの選手は切り返し方とかプレーがワンパターンになり易い。このアシュリーもそうだ。右足ももう少し使えるようになるともっといい選手になる。

リオ・ファーディナンド

前のシーズンでのクラブチームでの総合的な活躍はもう1つだったが、今大会は非常に良かった。結局イングランドは彼を中心とした守りのチームだとも言える。このポルトガル戦でも最後まで冷静にラインをコントロールしていた。
(僕はこのリオの涙には弱い・・・良く戦ったと思うだけにこっちにも来るものがある。出来が悪い時は「なにやってんねん!リオ そこで空振りかよ!」とか悪態つくもんだがw)

ジョン・テリー

チェルシーのキャプテン。世界一得点を取るセンターバック
前試合まで危なっかしい場面もあったが、この日はまさに壁(笑)。延長戦では要塞と化してことごとくポルトガルの攻撃を跳ね返していた。

フランク・ランパード

ランパードが無得点ではベスト4など無理。大会を通じてキックが不調。精度が足りなかった。攻守に、あらゆる場面に顔を出す運動量と気迫はさすがだったが。

スティーブン・ジェラード

イングランドフットボールを体現するダイナミックなプレーヤー。その存在はやはり大きかった。FWが不足気味のイングランドにあってその代わりを務めることもあった。彼はまだ若い。4年前、そして今回会の悔しさを次の大会で晴らしてくれることでしょう。

デイビット・ベッカム

ベッカム自身は好調だったと思う。特にセットプレイ時の正確なキックは多くのチャンスを生み出していたし実際得点にもなった。
ただクラウチがいるときはいいが、他にターゲットがいないので得意のクロスボールが活きない。ドリブル突破の出来るレノンを同じポジションに置いた方がいいのかもしれない。
ベッカムは代表デビュー時からずっと見てきたプレーヤー。思い入れは強い。彼がワールドカップを頭上に掲げる瞬間を見たかったのだが。キャプテンとしてのその男気!忘れません。

ジョー・コール

貴重な貴重なボールを「持てる選手」
こういう選手がもっとチームにいないとダメだ。右にも左にも行けるドリブルとパス。チャンスがあればシュートも狙う。今大会のイングランドの攻撃の中心は彼だった。
スウェーデン戦で見せたドライブシュートは見事だった。

オーウェン・ハーグリーブス

文句なしのポルトガル戦MVP!
獅子奮迅の活躍であった。イングランドが10人になってからも「本当は11人いるんとちゃう」と一瞬錯覚するほどの目立ちぶり。
知名度はそれほどでもないが、ハーグリーブスはボールタッチが柔らかくパスだけでなくドリブル突破も出来る。この活躍でイングランド中盤のレギュラー争いに加わった。(と思う)

アーロン・レノン

スピードのあるドリブルが武器の選手。個人的にはこういうウイングタイプの選手が最も好きなので定着して欲しい。
途中からの出場ばかりだったが、切れ味鋭いドリブルで惜しい場面を何度か作っていた。惜しいというのは、最後のところの精度がやや足りなかった部分。もう少し落ち着いて周りを見てプレーできるようになれば、イングランドにとっても強力な武器になる。
ドリブラーはやっぱり好きだ。

ウェイン・ルーニー

「神童」も今大会はいい所なし。活躍はおろかレッドカードを貰ってチームに多大な迷惑をかけた。怪我でプレーが悪くなるのはしょうがないとして、これはいただけない。
選手を評価する要素にはトラップの上手さ、パスの正確さ、視野の広さ、運動量、守備センス・・などがあるが、それと並んで「カードを貰わない能力」もあるはずだ。ルーニーは不発弾のような所もあり、常にこういう危険(退場)のリスクを負っている。見ているほうもハラハラする(苦笑)。まぁこれも彼の魅力なんだが。
彼も若い。(メチャクチャ若い!)次頑張ればいい。

マイケル・オーウェン

ちょっとキツイ事を言うけど
上に書いた「サッカー選手に必要な能力」の中には「怪我をしない」もある。怪我をしたから「可哀そう」では毎回済まない。
ちょっとこの選手は体弱すぎではないか?プロの選手としてはどうかな、と思う。チームにも戦術と計画というものがある。こんなにしょっちゅう居なくなっていたら・・・困る。
試合に出ても点を取る以外の事はしないし・・・。
アラン・シアラー級のストライカーの出現を望む。

ピーター・クラウチ

こんなヒョロヒョロの痩男に頼る時が来るとは(笑)。
使い道がはっきりしている選手。このポルトガル戦でもなんとかボールをキープしてくれていた。ポルトガルの総員総攻撃を受けなかったのは彼が前線に居たから。
なんか彼が好きになった(笑)。見た目弱そうだし(笑)。
彼には強くなってほしいと思う。2・3人に囲まれてもボールキープできるようになれば所属チームの戦術も変えられる。これにシュート力もつけば歴代に名を連ねる選手に・・・なるかもw


イングランド代表の今大会を振り返って


結局前回に続きベスト8に終わったイングランド代表。
実はイングランドはこの準々決勝が鬼門で、過去にここを乗り越えた(ベスト4以上)のはたったの2回しかない。果たしてこの戦績で強豪と言えるかどうか・・・。




・・・
今の気分は8年前の98年大会で敗退した時と似ている・・・


くやしい
2004欧州選手権や2002W杯ではならなかった気分だ。


「もっと出来たんじゃないだろうか」
そう思う。期待させられる選手達だった。


もう少しボールを繋ぐことが出来たら、プレーの精度があればもう少し上に行けたはずだ。
得点が少なかった。これが直接の敗因。
元から層が薄い上に怪我人続出のフォワード陣とランパードの不調が痛かった。
あとはやはり戦術的にまだまだだった。ジョー・コールやジェラードの個人技はあっても連携技はなかった。
ポルトガル戦の後半の頭に見せたフォーメーション、つまり中盤の底にハーグリーブスを置いてその前にランパード、ジェラード、サイドに突破力のあるジョー・コールとアーロン・レノンを配置したフォーメーション。これには期待させられた。これなら行けるかもしれない。
(しかしこれだと1トップになってしまう。1トップが出来るフォワードがいない。ルーニーはそういうタイプではない。)


サッカーって難しいね^^



イングランドの選手はよく頑張った。お疲れ様と言いたい。